〈BODHI〉のStand Collar P/O Knit が出来るまで
11月21日(土)から23日(月)の3日間、ユニセックスカシミヤブランド〈BODHI〉のポップアップストアを開催します。今回のイベントに合わせてEUREKA FACTORY HEITHS (以下、EFH)が別注を掛けたスペシャルなモデルがリリースされます。またこの3日間はデザイナーの水谷さんに在店していただきます。
きっかけは今年3月に開催した〈BODHI〉のプレオーダーイベントでのことでした。
何かお店の特徴となるような別注を企画しましょうという話になり、こちらから某アウトドアブランドの名作であるプルオーバーのフリースをニットで表現することをデザイナーの水谷さんに提案させてもらいました。
今回の別注モデルの話題を中心に〈BOHDI〉について、デザイナー水谷さんのパーソナルな部分についてもEFH代表の小林が聞き手になって敢行したショートインタビュー。是非ご一読ください。
Edit & Text : Toru Kobayashi (EFH Inc.)
オーセンティックなあの名作を〈ボーディ〉流にアレンジ
ーまず今回の別注にあたって元ネタとして、某アウトドアブランドの名作であるプルオーバーのフリースを提案された時はどんな印象を受けましたか?
水谷 もともと自分も好きなアイテムで普段から着用していたので、フリースの提案をいただいた時は天然素材で作ることにとても興味がありました。自分にとって『別注』とは、そのお店の雰囲気やスタイルが見えてくるアイテムであること。今回の企画は、EUREKAさんらしいどこかクラシックだけれど素材と機能性にこだわったアイテムに仕上がったと実感しています。
ー『Stand Collar P/O Knit』の製作にあたってこだわった事や苦労した事などあれば教えてください。
水谷 今回のために素材の組織を考えることから始めました。化繊を天然素材で表現し、フリースの生地感をどうニッティングで再現するか。〈BODHI〉のインラインにあるスウェットもそうですが、見た目はあくまでオーセンティックなルックスに仕上げたいといつも思っています。編み地の凹凸をできるだけ分かりにくくするために、編み地の裏面をあえて表面に使用。また、異素材によるパイピングやポケットの取り付けも、デザインだけの飾りでなくきちんと機能を持たせるよう心がけました。
ーやり方によっては野暮ったくもなりそうな元ネタのチョイスですが、〈BODHI〉らしい「カシミヤ」と「ニット」というフィルターを通すことでカジュアルながらもとても上品な仕上がりになりました。水谷さんにとってカシミヤという素材、ニットというアイテムに対してどんな思いがありますか?
水谷 自分にとって洋服の重要な要素は、どれだけ長く愛着を持って接しられるか。いい家具や靴を使い続けることと同じです。買った時が一番ではなく、使っていくことでより自分の一番になることを意識しています。そして、身体に負担なく無理のない丈夫で良質な天然素材であることも使い続ける上で大切な要素。これらの条件を満たしたのが、カシミヤでした。カシミヤは先入観を持たれていますが、実は耐久性、汎用性が高く、経年変化して風合いが良くなる持続可能な素材なのです。
また、ブランドをスタートする際にいい靴や時計が直して使うように、いい洋服も直して使うルーティンがあってもいいのではないかと考えていました。ニットは修理が可能なアイテム。出来る限り同じものを直してまた使う。そこに新たな価値が生まれることを〈BODHI〉を通して知ってもらえたらと考えています。
究極の日常着を追求する〈BODHI〉の未来とは
ー現在〈BODHI〉は秋冬シーズンのみの展開ですが、個人的には春夏シーズンの〈BODHI〉も見てみたいなと思います。今後はそんな予定はありますか?
水谷 春夏を作らないと、自分の着るものがないことに最近気づきました。(笑)
そうですね。春夏というよりは通年使えるアイテムを展開していけたらと考えています。カシミヤの特性を活かしつつ異素材とのハイブリットにすることで、新しい素材の使い方を考えていきたいです。
ー話が逸れますが、水谷さんは日本サウナスパ協会公認のプロサウナーでもあります。水谷さんに勧めてもらい私もサウナにハマってしまい週に2、3回ほど通っています。笑
お気に入りのサウナ施設や好みのサウナについて教えてください。
水谷 サウナは体調や症状によって様々な入り方があります。自分はその時によって入り方や時間配分を変更し工夫しています。疲労回復にはドライサウナ、内臓系の不調にはミストサウナや低温サウナなど。どのサウナに行っても、サウナ→水風呂→外気浴(休憩)のルーティンは必ず行って下さい。笑
東海地区で好きなのは、ウェルビー栄のフィンランド様式サウナ。薄暗い落ち着いた雰囲気の中で、本場フィンランドのサウナを体感できます。その後のマイナスの水風呂がまたすごい。ウッドのチェアで外気浴するときには、悟りの境地へいざなってくれます。笑
ー今回はご協力をいただき有難うございました。イベント当日を迎えるのが非常に楽しみです。最後に今後のブランドの展望について、またお客様へメッセージなどあればお聞かせください。
水谷 〈BODHI〉はどの時代にも捉われない素材と形を追求し表現しています。手にとったお客様が無くてはならないと満足していただけるような、究極の日常着を変わらず作り続けていきます。洋服を纏う人のスタイルを変えることなく、内面から日常の質を高めていく。時間が経つごとに愛着が増す、普遍性を備えたアイテムを今後も見て頂けましたら幸いです。引き続き何卒ご贔屓に宜しくお願いいたします。
BODHI / Stand Collar P/O Knit
Color : Beige × Navy
Size : One Size
Material : Wool 70% Cashmere 30%
Price : 80,000円+tax
編集後記
Editor’s Note
今回の別注のモチーフになった名作中の名作は、何か一つ間違えると大事故にもなりかねない。
そんな一抹の不安を抱きながら水谷さんに提案したわけですが、そんな不安はあっさりと杞憂に終わった。
勿論何も考えずにお願いした訳ではなく、〈BODHI〉の代表作であるリバースウィーブのスウェットをモチーフにしたカシミアニットが安心感の下支えになっていた。要するにアメカジ的カジュアルアイテムを内モンゴルの最高級のホワイトカシミアを使用して再現したらやはりそのギャップは面白いだろうと。。。しかしスウェットとフリースでは生地の表現方法が違い簡単な道のりではなかったようです。
ある程度の年齢を過ぎるといくら好きなアイテムでも定番過ぎて何だか着るのが気恥ずかしいということが稀にあります。今回はそんな天邪鬼な僕らの気持ちに寄り添い、更に巷のジェネリック系なフリース達とも別れを告げることが出来る優秀さを兼ね備えています。モデルをお願いした〈ayame〉デザイナーの今泉さんのシャンブレーシャツとのスタイリングも意外性があって凄く良かったので参考にしていただきたいです。(今泉さん、ご協力ありがとうございました!)
また水谷さんの手掛ける〈BODHI〉のカシミアニットとサウナ(といよりも水風呂)はどこか通ずる部分を感じています。その考察についても書きたかったのですが長くなりそうなので続きはまたの機会で。